私達姉妹は父の計らいで隣同志で暮らしていました。十年前、今まで料理好きだった姉がある日、流しで法蓮草を握ったまま動かないのです。考え事をしているのかと思いましたが長すぎました。その日は疲れたためと安易に処理してしまいました。そのうちに行きつけの近所の美容室から帰れなくなったり、買い物で支払が出来なくなり、長い行列ができたり、一人で衣服の脱ぎ着が不可能になりました。当時認知症について今ほど解明されておらず、”アルツハイマー”が初めて新語になった状態でしたから、義兄も二人の娘達も対応に苦慮しました。こういう患者を引き受けてくれる施設を捜し、体験入居を経て、今の”アライブ松庵”にお願いしました。義兄の科学者らしい綿密な施設調査は正解でした。場所が西荻なので、娘達が隔日、私達が週一、訪ねて、一度もケアについて疑問や不信感を抱いたことはありません。親切、丁寧な介護のお蔭で、10年たった今も入所当時と僅かな変化しか見られません。夫は姉の穏やかな寝顔を見て、”ひょっとすると義姉さんが一番長生きするかも”と言いました。私も同感です。我が家と異なり、数多くの特許を獲得した義兄の経済的裏付けがあってのことですが。国会でアピールした議員の認知症患者の施設とは程遠いものでしょうが。
コメントの投稿